– 膝の痛みや症状で困っているかた –
膝の痛みにはさまざまな原因がありますが、もっとも多くみられる疾患が
『変形性膝関節症』です。
まずは以下の項目から、ご自身の症状に近いところを選択しご覧ください。
痛みの部位
院長はこれまで約15年間にわたり、膝の診療および手術に多く携わってきました。
変形性膝関節症をはじめ、半月板損傷、前・後十字靱帯損傷、感染性膝関節炎、膝関節内骨折など、さまざまな疾患を診てきました。それらに対して、人工膝関節置換術や高位脛骨骨切り術、関節鏡手術、骨接合術などを行ってきた経験があります。
このような経験をもとに、問診と診察から膝の状態を丁寧に評価し、治療の選択肢や手術の必要性について、できるだけ分かりやすくご説明することを心がけています。また、手術を避けるために考えられる方法についても、一緒に検討していきます。
当院では四肢・脊椎全般の診療を行っていますが、特に膝の症状で長くお困りの方や、これまで改善が得られなかった方は、一度ご相談いただければと思います。
変形性膝関節症(O脚、X脚)
膝の痛みでお悩みの方へ
膝の痛みは、日常生活に大きな影響を与える症状の一つです。
立ち上がりや歩き始めの痛み、階段の昇り降りのつらさ、長く歩けないといった症状でお困りの方は、変形性膝関節症をはじめとしたさまざまな膝の疾患が原因となっている可能性があります。
当院では、整形外科領域での豊富な診療経験に基づき、まずは保険診療を基本とした保存療法を丁寧に行い、お一人おひとりの生活背景やお悩みに合わせて治療を一緒に考えていくことを大切にしています。必要に応じて、専門的治療や手術治療についてそれぞれのメリット・デメリットを丁寧にご説明します。いきなり手術を前提とした診療は行いませんので、どうぞ安心してご相談ください。
どんな病気?
変形性膝関節症は、膝の痛みをきたす代表的な疾患で、加齢だけでなく、けがの既往や日常生活・スポーツでの膝の負担が長年にわたり蓄積することで起こることがあります。
原因としては、半月板損傷、靱帯損傷の既往、膝の酷使(オーバーユース)、骨折後の変形、半月板や軟骨の変性などが関与します。複数の要因が重なって発症することが多く、一つの原因によらないケースも少なくありません。
同じ膝でも、臥位(横になっている状態)に比べ、立位では関節裂隙が狭小化している可能性があります。
半月板と軟骨の役割
半月板は膝関節の中でクッションのような役割を果たす大切な組織で、上下の軟骨同士が直接ぶつからないように衝撃を吸収します。
この半月板が損傷・変性するとクッション機能が低下し、軟骨同士がこすれ合うようになります。結果として軟骨がすり減り、軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が露出して痛みを感じるようになります。これが、変形性膝関節症の進行です。
症状と進行の特徴
変形性膝関節症は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ゆっくりと進行することが多い疾患です。ただし、状況によっては短期間で症状が強くなることもあります。
- 初期:立ち上がりや歩き始めの痛み、しばらく動いていると痛みが軽減
- 中期:痛みが持続、腫れ・熱感、可動域の制限を伴う
- 進行期:膝が伸びにくくなり、歩行が困難になることもあります
膝の痛みを我慢しながら生活することは、身体全体に負担をかけることにもつながります。外来では、「年齢のせいだから仕方ないと思っていた」「もう少し我慢しようと思っていた」という段階で受診される方も少なくありません。気になる症状があれば、まずは状態を確認することをおすすめします。
変形性膝関節症の治療の考え方
進行度の目安:Kellgren-Lawrence分類
変形性膝関節症の進行度を評価する際には、画像所見をもとにした評価法が用いられます。
これは、保存療法を中心に行う段階なのか、手術治療も含めて検討する段階なのかを判断する際の一つの目安となります。
初期~中等度の治療:保存治療
変形性膝関節症の治療は、段階を踏んで行うことが大切で、いきなり注射や手術に進むものではありません。初期から中等度の変形性膝関節症では、まず保存治療が治療の中心となります。
リハビリテーション・運動療法
当院では理学療法士によるリハビリテーションを行い、太ももの筋力、股関節・足関節の動き、歩行時の癖などを評価します。それに基づき、それぞれの方に合った運動療法やご自宅で継続できるトレーニング方法をご説明しています。
内服薬・外用薬
痛みや炎症の程度に応じて、内服薬や湿布などの外用薬を使用します。症状や体調に合わせて調整していきます。
ヒアルロン酸注射
症状がやや進行してきた場合には、関節内ヒアルロン酸注射を検討します。私はヒアルロン酸注射を、単なる痛み止めとしてではなく、膝関節の状態を整え、良好なコンディションを維持するための治療の一つと考えています。
足底板療法(自由診療)
膝の痛みは膝関節そのものだけでなく、足の着き方や体重のかかり方が関与していることもあります。
当院では、膝への負担を分散させるために、インソール(中敷き)による入谷式足底板療法(自費)を行っています。O脚(内反膝)や膝内側の痛みが強い方などでは、リハビリテーションや注射と組み合わせることで、痛み軽減や再発予防につながることが期待できます。
局所の痛みに対する注射
O脚の方に多い膝内側の痛みに対し、エコーガイド下でのMCL包注射(ステロイド)を行うことがあります。短期間の鎮痛効果は得られますが、注射だけで完結する治療ではありません。
その後にリハビリテーションや足底板療法を組み合わせることで、再発を防ぐことを目指します。
保存治療・手術治療以外の選択肢(自由診療)
保険診療を基本とした保存治療を丁寧に行っても、膝の痛みが十分に改善しない場合があります。
そのようなとき、当院では「すぐに手術に進む」だけでなく、自由診療というもう一つの選択肢もご用意しています。
近年、変形性膝関節症に対しては、痛みや炎症を抑え、関節内の環境を整えることを目的とした治療が進歩しており、手術を回避、あるいは先延ばしにできる可能性が広がっています。
再生医療(血液由来の成長因子治療)
血液に含まれる血小板には、多量の再生因子を放出して、損傷した細胞を修復する働きがあります。この成長因子に着目し、患者様ご自身の血液をもとに専門施設で加工・調整された製剤を患部へ注入することで、組織修復環境を整えることを目的とした治療です。
「手術はまだ考えたくない」「できるだけ自分の膝で生活を続けたい」と考えている方にとって、保存治療と手術の間に位置づけられる重要な選択肢の一つです。
動注治療
動注治療は、変形性膝関節症に対し、大腿部の動脈から細い針を用いて薬剤を直接投与する治療法です。膝周囲の炎症に関与する血流を抑えることで、慢性的な痛みを和らげる効果が期待されます。
他の保存治療で十分な効果が得られなかった方や、長期間痛みが続いている方に、再生医療と同様で手術ではない治療をお求めの際にご検討いただくことがあります。
これらの自由診療は、すべての方に適応となる治療ではありません。
状態やご希望を踏まえたうえで、十分にご説明し、無理におすすめすることはありません。
進行期の治療:手術治療
手術という言葉に不安を感じる方も多く、そのお気持ちは自然なものだと考えています。当院では、保存治療を十分に行ったうえで、それでも日常生活に支障が出ている場合に、手術治療についてご説明しています。
高位脛骨骨切り術(HTO)
高位脛骨骨切り術は、脛骨近位部を骨切りし、体重のかかる向きを調整することで、膝への負担を軽減する手術です。
O脚の方では、体重が膝の内側に集中している状態を、より外側に分散させることを目的とします。
比較的年齢が若い方、活動量の多い方、骨粗鬆症のない方、可動域が保たれている方などが適応となります。
術後しばらくは痛みを伴いますが、骨癒合が得られると、徐々に痛みが軽減していくケースも多くみられます。
人工膝関節置換術
人工膝関節置換術は、すり減った軟骨に相当する部分の骨を切除し、大腿骨側・脛骨側に人工関節を設置することで、痛みの原因となる接触をなくす手術です。
手術前には、荷重線が膝の中央を通るよう計画を立てるため、脚の変形が改善し、歩行の安定性が向上することが期待されます。
一方で、正座が難しくなることや、可動域が安定するまでに時間を要する点など、注意すべき点もあります。
Q&A
- 膝の痛みは、最終的には手術をしないと治らないのでしょうか?
- すべての方が手術を必要とするわけではありません。
変形性膝関節症は進行の程度や症状の出方には個人差があり、初期から中等度の段階では、リハビリテーションや注射、日常生活や習慣的な動作の改善など、保存治療で症状が落ち着く方も多くいらっしゃいます。
現在の状態をきちんと把握したうえで、今できる治療を積み重ねていくことが大切だと考えています。
- ヒアルロン酸注射やリハビリは、ずっと続けなければいけませんか?
- 必ずしもずっと続ける必要があるわけではありませんが、変形性膝関節症の中等度以上の方においては、症状が落ち着いている時期にこそ、予防的に月に1回程度ヒアルロン酸注射を行うことを当院ではお勧めしております。
リハビリテーションについては、保険制度上、同一の疾患に対するリハビリにはおおよその期間の目安が設けられており、一般的には150日程度が一つの区切りとされています。そのため、限られた期間の中でできるだけ効果的な治療が行えるよう、可能な限り全力で取り組みます。リハビリのない日には、ご自宅で簡単に行える運動を続けていただけるよう、運動指導も併せて行っています。
膝の状態は日常生活における活動量によって変化しますので、その時々の状態に合わせて治療内容を調整していきます。
- 再生医療や動注治療は、どの段階で検討する治療ですか?
- 保険診療を基本とした保存治療を十分に行っても、痛みが改善しない場合に、手術に進む前の選択肢として検討する治療です。
すべての方に適応となるわけではありませんが、「すぐに手術は考えたくない」「もう少し今の膝で生活を続けたい」という方にご提案することがあります。
- 年齢的に、もう仕方がないと言われましたが受診してもよいでしょうか?
- 「年齢のせい」と言われて今まで我慢されてきた方は少なくありません。
年齢だけで治療の選択肢を決めることはなく、現在の生活における活動量や痛みの具合、客観的に評価した進行具合などを考慮した上で治療方針を一緒に相談しながら決めていきます。
そのため、現在の状態を確認し、ご相談に乗るだけでも構いませんので一度ご受診いただければと思います。
- どの段階で受診すればよいのでしょうか?
- 「これくらいで受診していいのかな」と迷われる段階で、一度ご相談いただくとよろしいかと思っています。
初期の段階であれば、膝への負担のかかり方や動かし方を見直すことで、将来的な進行を抑えられる可能性があります。中等度以上の変形の方においても、適切な疼痛緩和のための注射やリハビリの開始、インソールの適応によって多くの方に改善の可能性を示すことができると思っています。どうしても手術を必要とするような段階の場合でも、しっかりとした保存治療から開始いただき納得いく段階まで保存治療を行なってから、それでも疼痛が改善しない場合に初めて適切な治療が可能な病院へのご紹介をご相談させていただきます。
当院では、納得して治療に進んでもらいたいと思っていますので、極力治療を強制することはありませんのでご安心ください。
当院では、膝の痛みの原因や現在の状態、ご提案できる治療の選択肢について、できるだけわかりやすくご説明し、一緒に治療方針を考えていきます。
治療を強制することはありませんのでご安心ください。
半月板損傷
どんな病気?
膝のクッションの機能を担う組織である半月板の損傷です。半月板は、歩いたり走ったりジャンプしたり、いろいろな動作で大腿骨側と脛骨側の軟骨が直接ぶつからないように保護してくれています。若い方であれば、激しいスポーツやウェイトトレーニング、そして外傷で痛める事があります。年配の方では、先に述べた受傷原因以外に、正座や階段を降りる、急に走るなど別の理由で損傷することもあります。半月板はたくさんの切れ方が存在します。中でも切れた半月板の一部が関節内をふらふらと浮遊して大腿骨と脛骨の間に挟まってしまう”ロッキング症状”、これは激痛で、一度切れ目に大腿骨がはまり込むと自分では元に戻せず救急疾患となる事があります。あとは歩行時に挟まることが度々あって痛いというフラップ状断裂や、膝の後ろがブツンと鳴り凄まじい痛みと膝の腫れで一時的に歩行ができなくなる内側半月板後根断裂などが痛い代表例です。しかし他の多くの切れ方では、痛くないこともあります。程度が軽いと、徐々にクッション機能が弱まって軟骨がぶつかり合ってすり減ることで変形性膝関節症として痛みをきたし、その時受けた検査で、すでに時間の経った半月板損傷を認めていますとご説明することもあります。症状のバリエーションがとても豊富ですので、ここにすべてを記載してご説明することが難しいと感じています。もし膝の痛みがあれば、まず診せていただきたいです。半月板以外の症状かもしれませんが、お話を聞いたり診察をしていくことで、お困りの症状の解決に向かうお手伝いができると考えております。
治療法は?
半月板は皮膚に近い側の1/3程度だけが血流をたくさん持ち、それ以外の膝中心に近い2/3は血流が乏しい組織です。そのため、切れたけどしばらく安静にしていたらくっつく、ということはあまり多くありません。そこで、診察の結果で半月板損傷が疑わしければ、まずはエコーやMRI(委託)で検査をしていただきます。その結果で、様子を見てもいいもの、部分切除をすればスッキリ解決するもの、縫合が必要なもの、脛骨の高位脛骨骨切り術や人工関節が適応になるものなどを、状態を説明しながらご提案させていただきます。今は手術は受けたくないなどのお気持ちも理解いたしますが、半月板は縫合が必要であるような症例はできるだけ早く行うことをお勧めします。血流が乏しく自力で治癒する可能性は低く、そのままにしておくとクッション機能が低下し変形性膝関節症に移行してしまうからです。この判断に関しては、きちんと状態をご説明した上で、納得がいく状態で治療に進んでいけるように努めたいと考えております。
偽痛風発作
どんな病気?
高齢で膝の変形や半月板の変性を伴っている方に突然発症する、膝の激痛を認める疾患です。その痛みは激烈で多少の動きでも悲鳴を上げるほどです。原因は、変形や変性がある膝関節内に人体が石灰化を形成し、その石灰化に対して自己免疫反応を起こすことで炎症が発生し、膝関節液が急激に増加し痛みをきたします。夏場や肺炎などの病気をきっかけに脱水となることで症状が発生しやすくなります。
治療法は?
絶対的な治療はありませんが、ロキソニンなどNSAIDs系のお薬が著効します。しかし、あまりにも強い疼痛の時は効果が得られるまでの時間すら耐え難いこともあります。その場合は膝関節内穿刺を行い、炎症を起こした関節液を吸い出した後に、数回生理食塩水で関節内の洗浄を行います。最後に局所麻酔を入れると一時的な痛みの緩和が得られます。根本的には、数日から1週間程度の時間が経てば自然軽快します。その間の除痛に関しては、個々の痛みの程度に合わせて適切な治療をご提案できればと考えております。
化膿性膝関節炎
どんな病気?
原因は様々ですが、膝関節内に細菌が入り込み感染を起こした状態です。膝関節内は血流に乏しいため、一度感染が起きると菌を自己免疫で倒すことができず繁殖しやすい傾向にあります。痛みはまちまちですが、非常に強い安静時痛をきたすことがあります。また感染によって骨が溶けることもあり、その場合は歩行困難となります。診断は、関節穿刺で混濁した関節液を認め、かつ培養検査で菌が検出されると確定します。
治療法は?
できるだけ早く診断をつけて、抗生剤を開始します。抗生剤は内服では充分な効果が得られにくいため、点滴での投与が望ましいです。また関節鏡下で膝関節内のお掃除を徹底的に行うことが薦められます。それだけでは持続的な治療効果が得られにくいため、最近ではCLAP療法(持続的局所高濃度抗生剤治療)を行うこともあります。人工関節が入っている膝に同様の感染が生じた場合は、インプラントの抜去をした上で、同様の治療が必要になるかもしれません。中途半端な治療は回復を遅らせることになるため、最初にできるだけ徹底した治療を行うことが望ましいと考えています。どうしても高度な治療を要することが想定されるため、2次もしくは3次病院にご紹介をさせていただくことになると思います。
前十字靭帯損傷
どんな病気?
スポーツでジャンプ後に着地をしたり、膝が内側に入った状態でタックルをされた時に、踏ん張りを超えて限界点を越えると前十字靭帯を損傷します。前十字靭帯は非常に強力な靭帯のため、膝がガクガクとなり前への不安定性を認めるようになるため、そのままではスポーツへの復帰が困難となります。最初に怪我した時に、膝関節内に急激に血が溜まることで関節内の圧が上がり、強い痛みを認めます。しかし、この痛みは膝関節内の血を抜くと一気に軽くなります。その後は、膝を固定するシーネもしくはサポーターで生活をしてもらい、準備ができ次第Donjoy装具(膝の前方不安定性を制御する装具)を着用し、可動域訓練と筋力トレーニングを行なってもらいます。痛みが軽くなれば、しっかりと脚をついて歩行可能です。
治療法は?
不全断裂や今後スポーツに復帰しない方は、膝周りの筋力トレーニングを行っていただき、前十字靭帯の働きを代償できるようであればそのまま日常生活に復帰をしてもらうこともあります。ただし、診察所見で膝の高度な前方不安定性を認めたり、スポーツへの復帰を求める方には、怪我から2ヶ月ごろを目処に手術をお勧めします。手術は関節鏡でご自身の腱を用いて行います。腱は、国内ではハムストリングを用いた本来の靭帯走行と同じ二重束再建法と、膝蓋骨と膝蓋腱の一部を用いた再建法があります。どちらの手術法にもメリットとデメリットが存在し、その選択に関しては体格や膝をつく動作を行うかどうかや膝の伸ばす方と曲げる方のどちらの筋力低下を嫌うかなどが影響してきます。スポーツへの復帰までには最低でも9ヶ月程度は要するものと言われております。当院では、適切な治療を行うことができる施設へのご紹介と、術前及び術後のリハビリでの介助をさせていただければと思っております。
後十字靭帯損傷
どんな病気?
高所から膝での着地や交通事故で膝を強打したり、膝を曲げた状態で膝を強く打つことで発生します。前十字靭帯損傷と同様に、怪我した直後は急激に膝関節内に血が溜まるためとても強い痛みを認めます。しかし、診察時に膝の血を抜くと痛みが軽くなることがほとんどです。診断がレントゲンで得られることはないため、受傷機転と所見などから総合して疑い、MRIを撮影して確定診断に至ります。
治療法は?
後十字靭帯損傷は、損傷後少し経過すると痛みがなくなります。そのため、日常生活を送るだけならあまり大きな問題になりません。ただし、しゃがんだ時の膝後方への不安定感が強い方や、その後スポーツや建設現場などへ戻る必要性がある方においては、まず3ヶ月間程度の徹底した膝前面の筋力訓練を行なってもらい、その上でどうしても違和感が消えない方には手術をお勧めすることになります。筋力で膝の安定性が改善しない場合は、そのままにしておくと半月板などのクッションを痛めて、連鎖的に変形性膝関節症に移行し、元通りに戻ることがない膝を完成させてしまう可能性があります。手術は先の前十字靭帯の再建術と同様で、二重束再建法と、膝蓋骨と膝蓋腱の一部を用いた再建法があります。どちらの手術法にもメリットとデメリットが存在しますので、その選択に関しては体格やスポーツ、仕事内容で検討することになると思われます。手術を行なった場合、スポーツへの復帰には最低でも9ヶ月程度は要すると言われております。日常生活や仕事にはもっと早期に戻ることができると考えます。当院では、適切な治療を行うことができる施設へのご紹介と、術前及び術後のリハビリでの介助をさせていただければと思っております。
内側側副靭帯損傷/外側側副靭帯損傷
どんな病気?
内側側副靱帯損傷は、膝より下の脚を強く外側に捻った時に発生します。内側に強くひねりを強制された時に発生しそうですが、単独損傷はほとんどありません。そして起きた単独損傷のほとんどは保存療法で難なく軽快します。外側側副靭帯損傷が起きたときは、前後十字靭帯損傷や大腿骨・脛骨の関節面の骨折など、より重篤な病態を合併していることが多く、中には動脈や神経が切れたりしているような複合損傷の形を認めることもあります。そのような場合は救急搬送され緊急処置を行われることになるため、あまり当院で初期の対応をすることはないかもしれません。
治療法は?
当院で対応可能なレベルの内側側副靱帯単独損傷であれば、急性期の膝サポーターでの固定と、急性期を過ぎた後に硬くなった膝の可動域訓練などを行うことで2〜3ヶ月で問題なく日常生活に復帰できます。単独損傷以外の複合損傷に関しては、もし当院で診察や診断をさせていただく機会があればMRI検査をし、一緒に画像を確認しながら必要な治療を検討していければと考えております。手術加療になればきちんと対応可能な病院を紹介をさせていただきます。術前術後のリハビリに関しては当院にお任せいただければと思っております。
膝骨壊死/脆弱性軟骨下骨折
どんな病気?
膝関節内側に認めることが多いですが、急に膝の激痛を認める病気です。ステロイド大量投与療法後に発生する骨壊死のこともあれば、骨粗鬆症をベースとした軽微な外力(階段を降りた衝撃や、段差でつまづくなどの衝撃)で膝関節面の軟骨下骨を微小骨折して発生することもあります。二つの病気は異なるものですが、治療法が酷似しているため一緒に取り扱うことが多いです。普段からO脚で膝の痛みはあったが、なぜか突然激痛になった時などに疑います。レントゲンやエコーで診断がつくことは多いため、まずは受診をしてみてください。
治療法は?
痛みの部位が膝の内側であることが多く、その場合はO脚の治療と同じです。まずは足底板で内側への荷重を外側への荷重にシフトさせます。その上で鎮痛剤や湿布を使用してもらいます。当院では個人の歩行様式を解析した上でより高いオーダーメイド性の入谷式足底板を作成しています。うまく内側への荷重がかからないようにできると、その間に壊死部や軟骨下骨折部が治癒していきます。通常3ヶ月程度の保存加療を試みています。それでも改善がなかったり、痛みのために膝の可動域が低下してリハビリでも可動域改善が得られそうにない時は、少し早めに手術加療をご提案することもあります。手術は主に2通りで、一つは活動性の高い方に提案することが多い骨切り術です。骨切り術は、正式には高位脛骨骨切り術といい、足底板と同じ原理で、痛んでいる内側関節面への荷重を痛んでいない外側荷重面に逃してあげようという治療になります。もう一つは人工関節です。もし外側関節面や膝蓋大腿関節面が痛んでいない方であれば、片面だけ置換する単顆関節置換術を適応します。痛んでいる関節面が人工関節になることで荷重時の疼痛が軽減もしくは消失します。どちらの治療を選択しても術後にある程度の期間リハビリを行う必要があります。手術の必要性がある方には、当院から対応可能な病院をご紹介をさせていただきます。その上で、退院され術後リハビリを行う際にはまた当院をご利用いただければと考えております。
たな障害
どんな病気?
膝関節の膝蓋骨内側よりに滑膜ヒダという組織が存在することがあり、その滑膜ヒダが膝の屈伸動作などで炎症を起こした際に、痛みや引っかかり感を呈する病気のことをたな障害と言います。
治療法は?
基本的にはたな障害を発症した原因となる膝の屈伸動作を制限し、局所の冷却を行うことで、炎症性の痛みを引かせます。その上で、膝前面のストレッチングをしっかりと行い柔軟性を増すことで、次の炎症が起こりにくい体に整えていきます。超音波や衝撃波治療が奏効することもあるので、適宜併用をしていくことができればと思っております。
膝蓋腱炎/大腿四頭筋腱炎/腸脛靭帯炎
どんな病気?
日常の仕事や作業、スポーツ、趣味などで、もしくは股関節や膝の変形や元々の形態により腱や靭帯に繰り返し曲げ伸ばしなどの負担がかかり続けることで痛みを発症する状態です。痛みの性状としては、炎症というだけあってズキズキした痛みがする場合と、該当する部位を押すと強い痛みを感じたり、重だるい感じとして自覚したり、刺すようなキリキリした痛みがする場合などがあります。
治療法は?
まずは原因となった仕事やスポーツなどを可能な範囲で休む、もしくは原因となった動作を制限することが理想的です。しかし、仕事の場合はなかなか思うように休むこともできません。治療は、クーリング、ストレッチ、リハビリをご提案することが一般的であり、すぐにではありませんが次第に症状を緩和させることができると考えております。しかし、やむを得ない場合で当院ではハイドロリリースを積極的に行なっておりまして、疼痛部位がはっきりとしていればハイドロリリースを行うことで症状の緩和を早めることができると考えております。まずは診察を行い、状況に合わせて治療を選択してまいりますので一度ご相談を頂ければと思っております。