肩の疾患
肩の疾患
腰の痛みは、突然くるものから、骨の変形が原因のもの、脊髄圧迫による神経痛をきたすものまで、症状や疾患もさまざまです。下半身のしびれ、ジンジンした痛み、電気が走るような痛み、背中の痛みなどがありましたら、ご相談ください。
強い痛みには、ハイドロリリースと呼ばれる注射療法で痛みを取り除くことが可能です。治療の選択肢によっては、医療機関と連携を取り、ご紹介をさせていただきます。

肩の痛みに関する主な疾患

五十肩、肩関節周囲炎

どんな病気?

肩の痛みや肩が動かしにくいなどの可動域制限をきたす病気です。名前とは異なり、年齢は幅広く中年以降誰でもなり得ます。きっかけがなく肩の痛みが出現し、しばらく様子を見ても改善せず徐々に増悪し、ひどくなると痛みで夜寝ることもできないといった状態が続きます。この強い痛みの時期を過ぎると今度は肩の可動域が低下します。腕が上がらないとか、後ろに手が回せないとかの症状を認め日常生活に大きく支障をきたします。

治療法は?

まず肩が痛い時期には、痛み止めや湿布、温熱療法、肩関節内注射(ステロイド:炎症を抑える薬液)を用いて除痛を図ります。自宅でも肩が安静となるポジションを取れるようにリハビリで指導を行うこともあります。痛い時期には基本的に無理をしないようにお願いをします。五十肩は時間の経過とともに痛みが取れてくることがほとんどです。痛みが取れた後に上肢の可動域制限が出てきますが、当院ではそこで、リハビリの介入やハイドロリリースを行い、機能障害が残らないように、かつ少しでも早く症状が改善できるように治療を行っていきます。それでも何事もなかったかのように戻るには平均6〜12ヶ月程度要します。そのことを頭の片隅に覚えていていただくと、治らないことでのストレスが緩和されるのではないかと思われます。皆様の個別の症状に合わせて治療を選択していきますので、最終的には良くなると信じて一緒に頑張ってもらえると嬉しく思います。

腱板断裂

どんな病気?

肩を挙上する際に使用される筋肉の断裂です。外側にある三角筋が真上に腕を引き上げるのに対して、この腱板は内側に引き込みます。この2つの異なる弧により腕を挙上するため、腕が上げにくいことで調べると見つかることがよくあります。腱板断裂は、怪我に伴うものと加齢によって気づかないうちに損傷していることの2パターンがあります。

治療法は?

基本的にはリハビリです。怪我によるもので痛みが強い場合は急性期だけ三角巾の着用などを行います。気づかないうちに断裂したパターンの方には、痛みがあれば腱板周囲にステロイド(炎症を抑える薬)を混ぜた局所麻酔を注射したりします。多くの方が、元通りとまではいきませんが、再び腕を上げることができるようになります。しかし、リハビリでは回復せず、全く腕を上げることができない方もいます。その場合は、エコーもしくはMRI(委託)で断裂の程度を評価し、外科的治療が望ましいと判断した場合は適切な施設にご紹介をさせていただきます。いきなりご紹介することはなく、しっかりとお話をして決めていきますのでご安心ください。

石灰沈着性腱炎

どんな病気?

とても強い肩の痛みを比較的急に発症します。「数日前から肩が疼いていたが様子を見ていたら、昨日の夜から耐え難い痛みで寝ることもできず、じっとしていても痛いです。」といった経過をお聞きすることが多いです。病態は、肩腱板付着部付近に自分の体が石灰化という異物を作り出し、それを治そうと自己免疫が働いて炎症を引き起こし、それに伴う痛みを生じることで起こります。

治療法は?

石灰沈着に対しては、ロキソニン(NSAIDs)やシメチジン(H2-blocker:最近はあまり使われていない)などの内服だけで痛みが良くなる可能性はありますが、改善に1〜2週間ほど要し、ややスピード感に欠けます。レントゲンで肩腱板付着部付近に石灰化像を認め、石灰化が痛みの原因と考えられた場合、基本的には注射が一番効果的です。注射と聞くと怖いですが、エコーを併用し、注射針で石灰部を壊しながら吸引し、ステロイド(抗炎症薬)と局所麻酔剤を混ぜた薬液を投与すればたちまち痛みがひいていきます。麻酔薬の効果は、数時間で切れてしまうため、注射当日はその後少し痛みますが、2日程度で治癒していきます。

肩関節脱臼

どんな病気?

肩関節が外れるケガです。脱臼は、骨折より痛いと言われており、激痛の中でも最上級です。脱臼は、激しくぶつかったり、転倒したりなどの外傷で発生することが多いです。

治療法は?

初回脱臼では、脱臼時に骨折を合併していないかによりますが、70%程度の方は保存加療(三角巾やバストバンドによる固定)を3週間、その後少しずつ肩甲骨など肩周りの筋肉をつけながら可動域を増やしていくことで改善が見込めます。ただし、一部の方は反復性に移行することがあります。最初の受傷時の損傷の程度も大きく影響していると考えられます。反復性に移行した場合は、関節鏡を用いて脱臼方向への壁を関節内に再建してあげることが治療となります。若い学生の方など、スポーツで損傷した場合に無理して試合に出続けている方もよく拝見します。確かに、短期的に見れば筋力をつけていざという時整復すれば何とかなっているようですが、脱臼を繰り返せば関節内の損傷は増し、残りの長い人生を考えると大きすぎるダメージではないかと考えます。反復性に移行した方は、今すぐ手術をしてくださいということはありませんので、怖がらずに一度お話をしてみませんか。あなたの人生にとって一番いい選択肢となるように時期などはしっかりと考慮いたしますのでご安心ください。当院では、肩周りの筋肉をつけるためのリハビリを専門のスタッフがわかりやすく説明しながら施術を行っていきます。

スラップ損傷(上方関節唇損傷)

どんな病気?

投球動作やテニスのサーブ・バレーのアタックなどのオーバーヘッドスポーツで、肩関節上方での腱の牽引力や捻れの力が繰り返し加わることで肩に痛みを発症することがある病気です。

治療法は?

肩の安静のため、原因となったスポーツの休憩をまずはお願いします。それから原因となった動作解析を行い、フォームの改善を図ったり、インナーマッスルなどの筋力向上を図ったりしながら、3〜6ヶ月での競技復帰を目指していきます。どうしてもこれらの保存療法で改善がないときは手術療法を頼ることがあるかもしれませんが、その確率は低いと考えております。少し時間を要しますが根気強くサポートをしていきますので、一緒に治療をしていきましょう。

変形性肩関節症

どんな病気?

腱板断裂や骨折、炎症性疾患(痛風、感染など)など様々な理由で肩関節の軟骨がすり減り、動かした時の痛みを発現したり、可動域が減少してくる状態のことを言います。

治療法は?

まずはリハビリや内服治療、物理療法などを一通り行なっていただきます。その結果、症状が変わらず困っている方にだけ手術をお勧めすることがあります。年齢にもよりますが、人工関節の適応をお勧めすることが多いと思われます。手術を行うべきかどうかについては、リハビリなどに通っていただきながら、お話を伺って検討していきたいと思っています。いきなりこれは手術しかないですねとご説明することはありませんのでご安心ください。

上腕二頭筋腱長頭腱断裂

どんな病気?

力こぶを作る筋肉である上腕二頭筋の腱の断裂です。高齢の方に発症する事が多い疾患ですが、筋トレなどで発症することもあります。筋肉の端同士は、腱という成分で骨に付着します。上腕二頭筋は、肩側に付着する際に2つに分かれて付着します。その中の一つである長頭腱の方は上腕骨頭の前面の溝(結節間溝)を通り急カーブして肩甲骨に付着しています。その特殊な形状により負荷がかかりやすく、擦り切れてしまう病態です。少し前から肩前面や力こぶの上あたりが痛かったが様子を見ていて、ある日大きな痛みと共に痛みが減り、力こぶが肘に近い方にできるといった、外観でもわかる特徴的な所見を呈します。

治療法は?

治療は、外観上の問題だけで痛みはほとんどありませんので、診断さえつけば、たいていの方には心配はいりませんとご説明するだけで、特に何もすることはありません。教科書には、比較的若い方であればスクリューなどで固定すると記載されていますが、私の経験では若い方での発症例を見たことがなく、そのくらい頻度が低いものと感じております。

肩こり

どんな病気?

言わずと知れた肩こりです。スマホ、パソコン、読書など、昔も今も多くの方がどうしてこんなに肩が凝るんだろうといつも首を回して辛い思いをしていることと思います。

治療法は?

肩こりの治療といえば、病院では湿布や温熱療法などの物理療法、ご自宅ではマッサージを行っていただくことが、少し前まで実際に私が患者様に説明して行っていたものです。しかし今は違います。肩こりには、ハイドロリリースが劇的に効きます。ハイドロリリースを勉強した後に、仲間の医師にエコーガイド下にまず自分に打ってもらいました。すると注射は少し痛いものの、終わった直後から明らかに肩が軽くなっています。横も向けるし、上も向けて、とても楽になりました。それからは少しずつ研鑽を重ね、治療を提供した多くの方々に、楽になったと言ってもらいました。それでも効果が足りないときは、当院でのリハビリでのストレッチングまで受けていただければ、ほとんどの方が肩こりから解放されることと思います。今まで病気ではないと思っていた肩こりですが、当院ではしっかり大事に治療をさせていただきますので、一度ご相談ください。

胸郭出口症候群

どんな病気?

肩から指先にかけてジンジンした痺れと痛みをきたす病態です。肩周りの筋肉のこわばりが増すことや、頚肋・なで肩など発症しやすい形態学的特徴を持っている方などにおこります。頚椎椎間板ヘルニアと似た症状を呈するため、診断に難渋することがあります。診断がつきにくい時は、頚椎椎間板ヘルニアの除外診断のために、頚椎MRIを撮影しに行っていただくことがあります。

治療法は?

主な治療は、ストレッチングと、重たいものを持つなど腕の重みによる負荷が増すことを避けることを地道に続けていただくことになります。比較的多い疾患のため、どうすれば症状改善をはっきり実感できる治療効果を提供できるか今も考えております。その治療の一つが、先にも何度か出てきているハイドロリリースだと言われています。まだ私は、胸郭出口症候群に対してのハイドロリリースの経験が少ないため、絶対に効果が出ますと断言はできませんが、治療を受けられた方には、施行直後から楽になったと好評です。今後も診断がついた方には、よくご相談をさせていただいた上で、ご希望があればしっかりと提供させていただきたいと考えております。