– 肩の痛みや症状で困っているかた –
肩は毎日の生活で頻繁に使用する関節です。
腕を上げる、洗濯物を干す、服を着替える、髪を結ぶ。
普段は当たり前にできていた動作が、肩の痛み一つで難しくなってしまいます。
「そのうち治ると思っていたら、だんだん腕が上がらなくなった」
「夜中に肩が痛くて眠れない」
このような悩みで来院される患者さんは少なくありません。
肩の痛みと一言で言っても原因はさまざまです。五十肩のように時間をかけて改善していく病気もあれば、石灰沈着性腱炎のように適切な診断と治療によって改善を早めることができる病気もあります。また肩の病気だと思っていたら、実際には首からの神経痛だったということも少なくありません。
当院では診察、レントゲン検査、エコー検査を組み合わせながら原因を明らかにし、それぞれの状態に合わせた治療をご提案しています。
「肩が痛い」「腕が上がらない」「後ろに手が回らない」などの症状がありましたら一度ご相談ください。
こんな症状はありませんか?
- 肩が痛くて腕が上がらない
- 夜中に肩が痛くて目が覚める
- 背中に手が回らない
- 洗濯物を干すのがつらい
- 肩から腕にかけて痛みやしびれがある
- 投球やテニスなどで肩が痛む
- 肩を動かすと引っかかる感じがする
- 肩こりが強く仕事や家事に集中できない
肩の痛みに関する主な疾患
よくみられる肩の病気
五十肩(肩関節周囲炎)
どんな病気?
肩の痛みや肩の動かしにくさを引き起こす病気です。
名前から50歳頃の方がなる病気と思われがちですが、実際にはもう少し若い方にも見られますし、60歳以降で発症することもあります。
多くの場合、はっきりしたきっかけはありません。
最初は肩に違和感を感じる程度だったものが、徐々に痛みが強くなり、ひどくなると夜中に痛みで目が覚めるようになります。
患者さんによっては、
「痛い方の肩を下にして寝られない」
「寝返りのたびに目が覚める」
という状態になることもあります。
この強い痛みの時期を過ぎると、今度は肩が硬くなってきます。
腕が上がらない、背中に手が回らない、エプロンの紐が結べない、髪を結べないなど、日常生活に支障をきたすようになります。
五十肩は自然に治る病気と言われることがあります。
確かに時間の経過とともに改善していくことが多い病気です。しかし実際には痛みが取れても肩の硬さが残ったり、思った以上に治るまで時間がかかったりすることも少なくありません。
治療法は?
まず痛みが強い時期には無理をしないことが大切です。
炎症が強い時期に、頑張って動かしすぎると、かえって痛みが増してしまうことがあります。
そのため、痛み止めや湿布、必要に応じて注射治療を行いながら、まずは痛みを落ち着かせることを目指します。
痛みが少し落ち着いてきたら、今度は肩の硬さに対する治療を行います。
当院では理学療法士によるリハビリを中心に、必要に応じて
ハイドロリリースなども併用しながら可動域の改善を目指していきます。
五十肩はどうしても時間のかかる病気です。
何事もなかったかのように戻るまでには、半年から1年以上かかることも珍しくありません。そのことを頭の片隅に覚えておいていただくと、「なかなか治らない」というストレスが少し和らぐのではないかと思います。
皆様の症状に合わせながら治療を選択していきますので、最終的には良くなると信じて、一緒に頑張っていただければ嬉しく思います。
腱板断裂
どんな病気?
肩を動かす筋肉のうち、「腱板」と呼ばれる組織が切れてしまった状態です。
断裂という言葉を聞くと驚かれる方が多いのですが、実は肩ではそれほど珍しい病気ではありません。
転倒や重い物を持ったことをきっかけに発症することもありますが、年齢とともに少しずつ傷んでいき、気が付いたら断裂していたという方も少なくありません。
肩が痛い、腕が上がらない、力が入りにくいといった症状がみられます。
一方で、検査をすると断裂しているにも関わらず、ほとんど症状がない方もいらっしゃいます。
そのため、「断裂している=必ず手術」という病気ではありません。
治療法は?
まずは痛み具合に応じて注射治療とリハビリを開始いただきます。
肩には腱板以外にも多くの筋肉がありますので、それらをうまく使えるようになることで症状が改善することがあります。
腱板断裂に関しては、MRIで断裂を認めていても、リハビリによって再び腕が上がるようになった方を多く経験しています。もちろん全員が改善するわけではありません。
大きな断裂がある方や、どうしても腕が上がらない方、仕事やスポーツへの影響が大きい方などでは手術が望ましいこともあります。その場合でも、いきなり手術を勧めることはありません。
エコーやMRIで状態を評価した上で、皆様の生活やご希望も伺いながら、一緒に治療方針を考えていきます。
石灰沈着性腱炎
どんな病気?
突然、肩にとても強い痛みを起こす病気です。
「数日前から肩が少し痛かったけど様子を見ていたら、昨日の夜から急に耐えられないくらい痛くなった。」
「じっとしていても痛い。」
「夜、痛みで全く眠れなかった。」
このような経過で受診される方をよくお見かけします。
肩の腱に石灰(カルシウム)が沈着し、それを体が吸収しようとする過程で強い炎症が起こることが原因と考えられています。
肩が全く動かせないほど痛くなることもあり、とても強い痛みをきたす疾患としては有名です。
治療法は?
痛み止めの内服だけでも改善することがありますが、強い痛みが続く場合には1~2週間程度かかることもあります。
レントゲンやエコー検査で石灰沈着が確認でき、今回の痛みの原因と考えられた場合には、エコーで確認しながら注射治療を行います。
石灰を細かくしながら可能な範囲で吸引し、その後に炎症を抑える薬を注入することで、数日以内に痛みが大きく改善する方もいらっしゃいます。
麻酔の効果が切れると一時的に痛みが戻ることもありますが、その後は徐々に落ち着いていくことが一般的です。
上腕二頭筋長頭腱障害
どんな病気?
上腕二頭筋は、いわゆる「力こぶ」をつくる筋肉です。
肩の前方を通る長頭腱という腱は、肩関節の中を通って骨に付着する少し特殊な走行をしているため、繰り返し負担がかかりやすい部位でもあります。
肩の前側が痛い、物を持ち上げると痛い、投げる動作で痛いといった症状がみられます。
年齢とともに傷んで炎症を起こすこともあれば、筋力トレーニングやスポーツをきっかけに発症することもあります。
進行すると長頭腱が断裂することがあります。
断裂すると、一時的に強い痛みを感じた後に痛みが軽くなり、力こぶが肘の方へ下がったような外見になることがあります。
治療法は?
炎症が主体の場合は、まず内服や湿布、リハビリを行います。
炎症が強い場合には、エコーで状態を確認しながら注射治療を行うこともあります。
長頭腱が断裂した場合でも、多くの方は日常生活に大きな支障なく過ごすことができます。
そのため多くの場合は保存療法で経過をみますが、年齢や活動性によっては手術をご提案することもあります。
変形性肩関節症
どんな病気?
肩関節の軟骨がすり減ることで痛みや動きの制限が出る病気です。
加齢だけではなく、腱板断裂、骨折、炎症などが原因となることもあります。
進行すると腕を上げることが難しくなったり、夜間痛が続いたりすることがあります。
治療法は?
まずは内服治療やリハビリ、物理療法などの保存療法を行います。
それでも日常生活に大きな支障がある場合には人工肩関節などの手術をご提案することがあります。
もちろん、いきなり手術をお勧めすることはありません。
生活背景や症状を十分に伺いながら、一緒に治療方針を考えていきます。
けがやスポーツによる肩の病気
肩関節脱臼
どんな病気?
肩関節が外れてしまうけがです。
転倒やスポーツなどで発症することが多く、強い痛みを伴います。
脱臼した肩は自分では元に戻せないことがほとんどですので、できるだけ早く整形外科を受診してください。
初めて脱臼した方では骨折や神経損傷を伴っていることもあり、レントゲンなどで確認することが重要です。
治療法は?
脱臼を元に戻した後は、三角巾などで一定期間固定を行います。
その後、肩の動きを回復させるためにリハビリを開始します。
若い方では脱臼を繰り返すようになることがあります。
スポーツをされている方では、試合が近いからと無理を続けてしまう方もいらっしゃいますが、脱臼を繰り返すほど肩の損傷は大きくなっていきます。
反復性脱臼が疑われる場合には、手術も含めて今後の治療について一緒に考えていきます。
SLAP損傷(上方関節唇損傷)
どんな病気?
野球やテニス、バレーボールなど、腕を大きく振るスポーツでみられることが多い病気です。
肩の関節の中にある関節唇という組織が傷つくことで痛みが出ます。
投球動作で痛い、ボールに力が伝わらない、肩の奥が引っかかる感じがするなどの症状が特徴です。
治療法は?
まずは原因となったスポーツを一定期間休むことが大切です。
その後、フォームの改善や肩甲骨・体幹を含めたリハビリを行い、競技復帰を目指します。
多くの方は保存療法で改善します。
十分な治療を行っても改善が得られない場合には、手術が選択肢になることがあります。
首や神経などが関係する症状
肩こり
どんな病気?
肩こりは誰もが一度は経験したことのある症状ではないでしょうか。
スマートフォンやパソコン作業、長時間のデスクワークなどにより、首や肩の筋肉が緊張し、重だるさや痛みを感じるようになります。
「肩こりくらいで整形外科を受診してもいいのでしょうか。」
そう聞かれることがありますが、私は遠慮する必要はないと思っています。
もちろん肩こりの中には、頚椎の病気や神経の障害が隠れていることもあります。
まずは原因を確認することが大切です。
治療法は?
以前は湿布や痛み止め、温熱療法などが治療の中心でした。
もちろん現在でもそれらは有効な治療ですが、それだけでは十分に改善しない方もいらっしゃいます。
当院では必要に応じて
ハイドロリリースも治療の選択肢としています。
筋膜や神経周囲の滑走性が低下していることが症状に関係していると考えられる方では、症状の改善が期待できることがあります。
また、肩こりは普段の姿勢や筋肉の使い方も大きく関係しています。
リハビリでストレッチや姿勢指導を組み合わせることで、再発しにくい状態を目指していきます。
胸郭出口症候群
どんな病気?
首から腕へ向かう神経や血管が圧迫されることで起こる病気です。
肩から腕にかけての痛みやしびれ、だるさ、握力の低下などを認めます。
なで肩の方や、腕をよく使う仕事の方にみられることがあります。
一方で、頚椎椎間板ヘルニアなど首の病気と症状がよく似ているため、診断が難しいことも少なくありません。
治療法は?
まずはリハビリを行います。
肩甲骨や首周囲の筋肉のバランスを整えながら、神経への負担を減らしていきます。
症状や診察所見から適応があると判断した場合には、
ハイドロリリースをご提案することがあります。
施行直後から症状が軽くなる方もいらっしゃいますが、効果には個人差があります。
また、頚椎の病気が疑われる場合にはMRI検査をご案内し、原因を確認した上で、それぞれの状態に合った治療をご提案します。
よくあるご質問(Q&A)
- 五十肩は放っておいても治りますか?
- 最終的には改善することが多い病気です。ただし、治るまでに時間がかかったり、肩の硬さが残ったりすることもあります。早い段階から適切な治療を行うことで、痛みを和らげたり、肩の動きを改善しやすくなったりすることがあります。
- 腱板断裂は必ず手術が必要ですか?
- 必ずしもそうではありません。リハビリによって症状が改善し、手術をせずに日常生活を送っている方も多くいらっしゃいます。断裂の大きさや症状、生活背景などを考慮しながら治療方針を決めていきます。
- MRIは必ず撮らないといけませんか?
- 必ず必要というわけではありません。診察やレントゲン、エコー検査で診断できる病気も多くあります。MRIが必要と判断した場合には、近隣の医療機関をご紹介いたします。
- 肩が痛い時は動かした方が良いですか?
- 病気によって異なります。炎症が強い時期には無理をしない方が良いこともありますし、痛みが落ち着いてきたら積極的に動かした方が良いこともあります。自己判断が難しいこともありますので、一度ご相談ください。
- ハイドロリリースは誰でも受けられますか?
- 全ての肩の痛みに適応があるわけではありません。診察やエコー検査を行った上で、効果が期待できると判断した方へご提案しています。
- 肩こりでも受診していいですか?
- もちろんです。当院では肩こりはハイドロリリースを適応したりと、比較的積極的に治療を行っております。また、肩こりの中には首や肩の病気が隠れていることもあります。「肩こりだから仕方ない」と我慢せず、一度ご相談ください。
- 注射は何回までできますか?
- 病気や注射の種類によって異なります。同じ注射を何度も繰り返すことが良いとは限りません。そのため当院では、その時々の状態を確認しながら必要性を判断しています。
肩の痛みでお困りの方へ
肩の痛みは、同じような症状であっても原因によって治療法が異なります。
「年齢のせいだから仕方がない」「そのうち治るだろう」と思っていた症状でも、適切な診断と治療によって改善が期待できることがあります。
当院では、診察、レントゲン検査、エコー検査を組み合わせながら痛みの原因を確認し、お一人おひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。
肩の痛みや腕の動かしにくさでお困りの方は、一度ご相談ください。